安心安全な野菜の見分け方【GAPってなに?】

食への関心が強い方や2020年東京五輪・パラリンピック関係のテレビを見ていて少し聞いたことがあるような気がするという方もいるかもしれませんが、ほとんどの人がまだこの「GAP」という言葉になじみがないと思います。

 

2020年東京五輪・パラリンピックの選手村では「GAP」の野菜しか使えない?

日本で「GAP」を取得している農家は1%にも満たない?

 

いろいろな情報が飛び交っていますが、今回はそんな世間からも注目を集め出し、これから野菜を買う上で意識していただきたいこの「GAP」について少し説明したいと思います。

GAPってなに?

GAPとは「Good Agricultural Practice」の略で、日本語だと「良い農業を実行する」という意味になります。ただしここでの「Good」は「良い」ではなく「悪くない」程度Goodになるので、

 

正確には GAP = 「悪くない農業を行う」
というのが正解です。

 

悪くない農業?

良い農業と言われれば安心できそうですが、悪くない程度の評価ですと少し不安が残りますよね。

ではなぜ東京五輪・パラリンピックではそんな「GAP」を取得している野菜しか使用できないのでしょうか?

 

現在日本にはとても多くの農家がいます。

普段は別の仕事をしていて、時間があいたときや休みの日などに野菜を作り、近くの道の駅やインターネットなどで販売している人、

農業だけで生計をたてていて、野菜を出荷し、皆さんがふだん良くいくスーパーやファーマーズマーケットなどで野菜を販売している人。

いろいろな農家がいて、いろいろな場所で様々な野菜が毎日販売されています。

 

そんな流れで皆さんの食卓へと毎日並んでいる野菜ですが、皆さんはその野菜がどんなふうに食卓までやってきたのか知っているでしょうか?

 

無農薬だから、有機栽培だからという表面上の付加価値は目につきやすく、話題にもなりやすいので、意識しているという人は多いのですが、その野菜がどんな水で洗われたのか、どんな場所・環境で保管されていたのかといった、野菜の本当の裏側まで意識している人はまだまだ少ないです。

 

そんな普段野菜を買う際にはわからない、野菜の裏側の安全性、品質を保証する為にできたのがこの「GAP」というものになります。

 

悪くないってどうなの?GAPは本当に安全な野菜?

悪くない農業というとあまり聞こえはよくありませんが、GAP」においてはこの「悪くない」というワードがとても重要なポイントになります。

 

先ほどもすこしお話しましたが、皆さんは野菜を買うときにどんな風にここまで野菜が来たのかということまで意識している人はほとんどいません。

たとえばある無農薬の野菜を購入したとします。

無農薬で安全だから安心して食べることができると思って買った野菜ですが、もしその野菜が、雨水をためたような汚い水で洗われていたということがわかったらどう思うでしょうか?

いくら無農薬で育てられたといっても、食べたくなくなってしまいますよね?

 

これはほんの一例にすぎませんが、ほかにも無農薬でつくったといっても別の農家さんの農薬が風でながれてついていたり、袋詰めのときに汚い手でさわったりしていないかといった心配もあります。

食べ物をあつかっているのだからそんなことをするのは当たり前のことで大丈夫だろうと思って、こういった細かいことまで考えていない人がほとんどだと思いますが、現役農家の視点から言わせていただくと、現在の日本の農家は正直まだこういった基本ができていない農家がほとんどです。

 

そこでこのようにかけ離れている皆さんの当たり前と農家の当たり前を近付け、「悪くない」農業をしようというものがまさにこの「GAP」なのです。

 

野菜の真実を見抜く力を身につける

だったらみんなGAPをすればいいのではないか?と思われるかもしれませんが、現在の日本ではこれがなかなかに難しいです。

 

テレビなどで耳にすることがあるかと思いますが、現在の日本の農家は高齢化が進み、それぞれの農業規模も小規模で農業をおこなっている農家がほとんどです。

これまでGAPは「悪くない農業を行う」ことと説明してきましたが、そのためには200以上もの検査項目をクリアする必要があります。

この200項目の中には「野菜の品質」だけでなく「働く人の安全」や「環境への配慮」といった、野菜だけでなく農業という行為全体の品質に関してのルールも含まれています。

こういった項目をクリアするためには、専用の清潔な出荷施設や手洗い設備をつくったり、水の検査をしたりといった費用面の問題が発生し、

高齢者が苦手とする日々の農薬や掃除の記録、畑の周辺環境の把握とその影響といったことも意識する必要がでてくるので、

高齢化が進む小規模農業が基本の日本の農業ではまだまだ普及するのは先のことになりそうです。

今の日本には無農薬栽培や有機栽培、もしくは減農薬栽培といった、みなさんが安全で安心できるといういろいろな「良い野菜」が出回っています。

しかしそんな「良い野菜」をつくっていても「悪くない農業」をできている農家はまだまだ多くありません

 

悪くない農業を行い、良い野菜をつくる農家

今回の話を覚えておいていただき「GAP」とはなんなのか?

普段安心して安全だと思っている野菜は本当に安全なのか?

 

今回お話した「GAP」というお店に売っている情報だけではわからない、「野菜の裏側の情報」というものもあるということを覚えておいていただき、今後野菜を買う際にはぜひ今回の話を活用していってください。

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